SCRAPING キサゲ加工
キサゲ加工とは?
富山県の株式会社城村では、職人技が必要な精密作業である「キサゲ加工」を承っております。
キサゲ加工とは、キサゲ(スクレーパー)という工具を用いて、複数の物が接触する面を高精度・高耐久に仕上げる作業です。
このページでは、キサゲ加工について詳しく解説します。
キサゲ加工のメリット
キサゲ加工のメリットは、機械を上回るほど精密な平面・直角・真直を実現できることです。
工作機械による加工では、切削する際の熱などの影響で、微細な誤差が生じてしまいます。精密機械などの部品として用いる場合は、そのわずかな歪みだけでも誤作動につながるリスクがあります。
一方で、熟練の職人によるキサゲ加工では、0.001mmに等しい「1μm」単位の繊細な加工が可能です。工作機械では実現できない超高精度な平面をつくれるため、さまざまな機械が開発された現代でも重宝されています。
キサゲ加工を行う場所
キサゲ加工は、主に物と物が接触する面に用いられます。当社では、定盤・エッジ・治具などにキサゲ加工を施した実績があります。
現在は精密な機械が多数開発されているので、機械を用いて部品を加工するシーンも増えてきました。しかし工作機械には、使用する機械の精度によって、加工する部品の精度が決まるという特性(母性原理)があります。つまり、工作機械以上の精度の部品はつくれません。
そのためキサゲ加工は、工作機械の進化には欠かせない非常に重要な技術だといえます。
摺動面のキサゲ加工を
行う理由
機械の摺動面(しゅうどうめん)とは、2つの金属が滑るようにして稼働する部分です。摺動面で金属同士がぴったりと密着すると、異常摩耗・焼き付き・固着などの「リンギング現象(噛み込み)」が起こります。リンギングすると摩耗や摩擦熱などによって部品が変形し、機械がスムーズに動かなくなります。
そのため摺動面では、部品の動きを妨げない程度の凹凸をつくる、キサゲ加工が不可欠です。キサゲ加工でつくった凹凸は油溜まりと呼ばれ、潤滑油などが入り込んで摩擦が軽減されます。
摺動面以外での
キサゲ加工の必要性
摺動面では、リンギング防止のために、適度な凹凸(油溜まり)をつくります。一方で、部品同士の貼り付け面などでは、凹凸のない高精度な平面が必要です。しかし研磨機では、熱などによって微細な誤差が生じてしまいます。そのため、高精度な平面度・直角度・真直度を実現するためにも、キサゲ加工が用いられます。
たとえば、穴の中心(芯)をキサゲ加工でなめらかにすると、穴を通る部品との接触などのリスクを低減可能です。その他、キサゲ加工によって意図的に傾きをつくるケースもあります。
測定定盤・エッジ・
治具へのキサゲ加工
定盤上で物を移動させて測定する場合、定盤の平面度が高いほどリンギングのリスクが高くなります。リンギングが起きると正確な測定が難しくなるだけでなく、摩擦などによる定盤の劣化にもつながります。そのため、測定物と接触する面にはキサゲ加工が必要です。反対に、定盤の表面が摩耗した場合は、キサゲ加工によって高精度な平面を取り戻します。
キサゲ加工は、エッジや治具など幅広い物の加工に活用可能です。ただし、焼き入れによって硬度が高まっている金属は、キサゲ加工できない場合があります。